文書作成日:2021/04/20
相続税の障害者控除が適用できない場合とは
[相談]
私には2人の子がおりますが、そのうち次男は身体に障害があります。
その次男の将来の生活の世話については長男が引き受けてくれているのですが、その世話等にかかる費用のことを考え、私の遺産の全額を長男に相続させようかと考えています。
この場合、私の遺産を全額相続した長男は、相続税法上の障害者控除の適用を受けることができるのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の場合、ご長男は相続税法上の障害者控除の適用を受けることはできません。
[解説]
1.相続税法上の障害者控除制度の概要
相続税法上の障害者控除とは、相続又は遺贈により財産を取得した相続人(※1)が障害者である場合に、その人について算出した相続税額から、原則として、10万円(※2)にその人が85歳に達するまでの年数を乗じて算出した金額を控除することができるという制度です。
※1 85歳未満の相続人に限ります。
※2 その人が特別障害者である場合には、20万円となります。
2.障害者控除額をその障害者本人の相続税額から引き切れない場合の取扱い
上記1.の障害者控除を受けることができる金額が、その控除を受ける人について算出した相続税額を超える場合においては、その超える部分の金額は、その障害者控除を受ける人の扶養義務者(※3)について算出した相続税額から控除することができます。
※3 扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった3親等内の親族をいいます。また、扶養義務者に該当するかどうかの判定は、相続開始の時の状況によることとされています。
このように、相続税法上の障害者控除は、相続等により財産を取得した相続人について適用されるものです。
このため、今回のご相談の場合、遺産を全く相続しないご次男については、相続税法上の障害者控除の適用は受けられないこととなります。
[参考]
相法19の3、19の4、相基通1の2-1など
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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